宮尾登美子

宮尾登美子氏が亡くなったのを新聞で1週間ほど前に知った。 若い頃、初めてこんなに「面白い本はない!」と思った本が「櫂」だった。 その後「鬼龍院花子の生涯」は読んだがずっと気になりつつ、何十年もたってしまった。

私がそれほど感動した理由は、父から継母を守るために、父に対して日本刀を振り上げる主人公「少女」の行為の鮮やかさだった。その場面は「櫂」で 、その後、大人になった「鬼龍院花子の生涯」で一世を風靡した「舐めんじゃねえぜよ」が来たと記憶している。

この人の本は全部読みたいと思いつつそのままになってしまったことが、死亡報道でよみがえって来た。アマゾンで検索して「朱夏」にした。驚くべき値段だった、中古本で(上刊)1円 (下刊)100円。丁寧に扱われ保存された本が古本屋さんから届いた。

「朱夏」

時は昭和19年の戦争末期、舞台は高知。戦況は下降の一途であるにも関わらず、何が実際今起こっているのか知らない国民はけなげで、まだまだのんびりしている。二十歳にもならない主人公もその一人だ。これから乳飲み子を抱えて、自己のしがらみからの脱出を図るべく満州に「夢」を見ている。

当時の風景、生活感、空気、人の息使い、匂いまでがそこにはある。本の扉を開けばその時代にタイムトラベルだ。

今日はここまで。

いのいの の紹介

 東京から100キロ圏内の田舎に住んでいます。ここは穏やかな里山です。生まれも育ちも大阪ですので「庶民が主人公」の大阪人気質が抜けません。「お好み焼き」と「いかに安く買ったかを自慢しあう癖」と「また負けたか8連隊」と「君死にたもうなかれ」を詠んだ与謝野晶子が誇りです。みんなでお国自慢をしましょう。楽しいかもです。動物犬猫が大好きです。
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宮尾登美子 への1件のフィードバック

  1. スノーベリー のコメント:

    私も二年位前に朱夏を読みました。満州に行ったらいい暮らしができると期待して行ったけど、現実はとても厳しくお風呂にも何ヶ月も入れなく、着の身着のままのような生活だったと記憶しています。次から次へと事件が起こり、臨場感があってはらはらさせられましたが、最後には無事日本に帰れたことでほっとしました。宮尾登美子の本は他には櫂と春燈しか読んでいませんが、私も好きな作家です。 最近亡くなられたとのこと、ご冥福を祈ります。

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