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23年07月15日

★「LGBT理解増進法」成立と最高裁「トランスジェンダーの職員が逆転勝訴」

若林苗子

2023年6月16日(金)参院本会議で自民・公明の修正案プラス日本維新の会、国民民主党の対案を反映させた修正案の「LGBTQ理解増進法」が賛成多数で可決され、がっくりきた。今回の法律にはLGBTQに対する差別禁止規定はない。2021年に与野党実務者で合意した法案の「差別は許されない」との表現を今回自民修正案は「不当な差別はあってはならない」に変更。「差別に正当な差別があるのだろうか?」とびっくり仰天。なぜこのように修正されたかというと「差別は許されない」とすると、「裁判が増えるから」だそうだ。又、当初自民・公明案にあった「民間団体の自発的な活動促進」に関する記述を保守派に配慮し、維新・国民民主の対案を反映し、削除したのも問題だ。

 

更に、今回の法律には、出生時の性別と性自認が異なるトランスジェンダーの権利を認めると女性の権利が侵害されるという考えに基づき「女性の権利侵害や性暴力などへの不安の声を受け、『すべての国民が安心して生活できるよう留意』」との文言が加わった。これはあたかもLGBTQが国民の安全を脅かすような誤った前提の文言で、おかしい。トランスジェンダーと女性双方への差別禁止と権利が保障されるべきだ。これでは「多様な性とセクシュアリティ」を認め、共に生きていく社会とは逆行し、「LGBT理解増進法」ではなく、「LGBT差別増進法」だ。当事者の意見を聞き、LGBTQの人権を守る法律を作ろうというのではなく、5月のG7広島サミットに合わせるために国会提出されたのもおかしい。社会の中で、差別と偏見にさらされ生きている、性的少数者の人権を守るという意識が欠けている国会議員たちがこの法律(議員立法)を成立したという事実・現実に暗然とした思いになる。ヒドイ!!

 

一方、7月11日(火)に経済産業省で働く50代のトランスジェンダー女性が、省内の女性トイレの使用を不当に制限されたとして国を訴えていた訴訟の上告審判決があり、最高裁は、制限を認めた人事院の判決は裁判官5人全員一致で「違法」と判断したというニュースには、ほっとした。この職員は1999年頃に性同一性障害と診断されたとのこと。健康上の理由で性別適合手術は受けず、2010年同僚への説明会を経て、女性の服装で勤務するようになったが、女性用トイレは、職場から2階以上離れたトイレしか使うことが認められず、人事院に訴えたが2015年に不認定。又上司から「男に戻ってはどうか」と差別的発言を繰り返し受け、精神的苦痛で長期の休養を余儀なくされ、更にトイレのことがネックになり、長年にわたり、職場の異動もなかったという。東京地裁の一審では制限は違法と勝訴、二審の東京高裁では、制限は適法と逆転敗訴し、最高裁に上告し、逆転勝訴。

 

判決後にこの職員は記者会見で「他の職員と差別のないようにしてほしい。」「トイレやお風呂の問題に矮小化して議論することではなく、大事なのは性自認に即して社会生活を送れること。的外れなヘイトスピーチに耳を傾ける必要はない」と話していた(東京新聞 2023年7月12日)。よくぞ、ストレスにみちた職場での日々と裁判を闘ってくれました。大変だったと思います。「あきらめない!」ということの重要さを実感します。

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