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13年09月25日

放射性物質の測定-どれだけ汚染されているかを知る

笑夢子

7月初め、自宅の庭に自生しているドクダミをつんで、自治体が行う食品の放射能測定検査に持って行った。2011年3月11日の福島原発事故以来まったくいじってなかった庭の数カ所からドクダミを採り、太陽に当てて乾燥させたものを(27g/200cc)用意した。測定の結果、自宅のドクダミからは1kg あたり71.9ベクレルのセシウムが検出された(セシウム134と137の合算)。自宅は都区内の北西部で、いわゆるホットスポットのエリアではない。

 

高いと思った。3.11の原発事故後、国が定めた食品の安全基準値は現在100ベクレル/kgだが、それに照らせば「安全」となる。だが、この基準は安全と言うには高過ぎて私は信用していない。ちなみに安倍首相がオリンピック開催地を決めるIOCのプレゼンテーションで、日本の食品安全基準は世界一厳しいと自慢げに述べたが、嘘であります。(ウクライナでは、パンは1キロあたり20ベクレル、野菜は40ベクレル、飲料水は2ベクレル)。ちょっと調べれば誰でもわかる嘘を国際的な場で堂々と述べるこの人の痴性、おっとちがった恥性、じゃなくて知性は大丈夫か?

 

ドクダミの話に戻ると、私が利用している生協の放射能測定結果では、7月に一番高い数値が出た原木しいたけは20ベクレル/kgを下回っていた。このように、70ベクレル出るものは最近では珍しい。これを思うと、自宅のドクダミはとても高いように思えた。同じ敷地内でも場所によって低い汚染の所もあるとは言うけれど、びっくりした。やはり東京もはんぱでなく汚染されているのだと思った。

 

また、今月9月初めにボディカウンターによる体内放射性物質の測定、いわゆる内部被ばくを調べに行った。NPO団体がウクライナの機械で測定するのだが、セシウム137と134の体内含有量がわかる。ただし、ストロンチウム(骨にたまってなかなか体外に出にくい)などのセシウム以外の物質は測定できない。測定は10分間、服を着たまま椅子の形をしたボディカウンターに座る。1回目は137、134とも未検出だった。未検出なので2回目を測り、その結果セシウム134はゼロ、137のみ検出され、その体内量は約250ベクレルだった。ウクライナのデータに照らし合わせると、病気を発症する可能性のある数値には至っていないと言うことだった。被ばく量の危険度は体重と関係し、同じ数値でも少ない体重の人は危険度が高まると言う。つまり同じ250ベクレルでも子どもの場合は、危険度が増す。

 

私の場合、問題なさそうなレベルだったのは、福島事故があってから、厳密ではないが出来る範囲で食生活に注意していたからと思う。食品は残留放射能を自主検査している生協から買っているが、そこの検出限界値は野菜、肉、魚、コメで1ベクレル/kgと低く、信頼している。デトックス効果がある玄米も定期的に食べるようにしている。しかし食べものによって数値は変動するため、今後数値が上がらないようキープすることが大切と言われた。ちなみに福島原発事故の前には、日本に住む人の体内セシウムの平均値は約20ベクレルだったそうだ。なので、私の場合、事故前の約10倍以上の放射性物質が食品や空気等を通して体に入ったことになり、東京に住んでいても放射能の影響を受けていることがよくわかった。福島以後は、日本全国のどこにいても皆、体内被ばく量は増加しているとのことだった。

 

東京がどれ位放射能汚染されているかは、事故直後も現在も一度も国や都から発表されたことがない。だから正直、東京がどれだけ汚染されているかわからない。国や都は知られたくないので、調査しないのだろう。オリンピックが決まり、なおさら内外に知られては困る。ここに来て秘密保護法が出てきたのは、そういうわけがあったのか。この法案は、権力に都合の悪い情報は公開せず、知ろうとする国民を厳罰に処すというもので、こんなものが通ったら恐ろしいことだ。

 

線量の公開については、たとえば私の住む区役所のサイトに行けば空間線量を毎日見ることが出来るのだが、それは区役所前の植え込み一ケ所についてだけだ。都内の広い範囲での測定はNPOなどが自主的に行いネットで発表しているが、それから都内の汚染状況を判断するしかない。それらを見ると、新宿や皇居の近くやその他都心の多くで、ホットスポット的に高線量に汚染されており、ちょっと恐ろしくなる。国民の健康を守るのが国や都の義務だ。そのために税金も払っているのだ。国や都は線量を測定し発表する責任がある。オリンピックに税金を使ってほしくない人はたくさんいると思うが、国民の健康のために使うなら誰が反対するだろうか?今年7月の参議院議員選挙で当選した山本太郎が、東京の汚染度を公開させると言っていたが、ぜひやってほしい。

 

ところで、今回オリンピック会場の候補地になっている湾岸地区などで放射能汚染が際立っていることが、NOP団体から発表された(ここを見て⇒「オリンピック会場の空間線量測定結果について」http://olympicsokuteikai.web.fc2.com/matome0828.html#.UkGpB3_isnU
オリンピック候補会場の放射線を測る会)。そういえば7、8月に東京湾の江戸川河口で高線量のうなぎが獲れたニュースがあった。またNHKのEテレで、事故の2年目以降から(今年からだ)東京湾に流れ込む河川の河口付近の放射性物質濃度が高くなる可能性があると伝えた。先のNPO団体は、都内の会場候補地の空間線量を測り、開催都市を決めるIOC総会に間に合うようIOCに測定結果を送っていた。またIOC会長への手紙でも、東京の放射線量から目を逸らさずに賢明な決定をしてほしいと要請した。ところがそれでも東京に決まった。たとえば、トライアスロンは湾岸で行われる予定だが、IOCの人たちは、放射能で汚染された海で泳がされる選手たちの健康を考慮することがなかったのだろうか?ここでも札束がものを言ったのだろうか?

 

最後に、福島原発の汚染水と首相のIOCプレゼンテーションについて一言。7月末、東電は参議院議員選挙の結果に影響が出るのを恐れていたかのように、選挙結果がはっきりした翌日になって、汚染水漏れを発表した。それ以後一カ月以上、数日おきに新たな汚染水問題が次々と報道され、IOC総会前までにはすでに福島原発の汚染水問題が深刻であることは国民の誰もが知っていた。どんな人も、ネットを全然見ない人、保守的なTV局のニュースしか見ない人でも、汚染水問題が深刻な状況にあることを知っていた。にもかかわらず、IOC総会のプレゼンテーションで安倍首相は、福島原発について「状況はコントロールされている」”The situation is under control”と会場の聴衆に向かって笑みを浮かべながら発言した。

 

この放送はTVでライブ中継されたが、これを日本で見ていた人のうち一体誰が、首相の発言に「その通り」とうなずいただろうか。これが嘘なことは誰でもわかる。私はこの安倍の発言にのけぞってしまった。嘘をつくにしても、あまりにもあからさまな嘘だ。日本にいる大人ならほとんどの人が知っている汚染水問題だ。ウソをつくならもう少し程度の高いウソをついたらどうか。笑みを浮かべながらあからさまな嘘を空々しく述べる安倍の顔をTVで見ながら、これはもしかして、自分の嘘を日本の国民が嘘だとわかっていながら許す、あるいは許されるのが当然と思っているんではないかと思えてきた。つまり日本国民はこいつ、失礼、安倍首相からバカにされているということだ。だが、恥ずかしいのはこちらだ。このような世界的な場で嘘を得意げに述べる人物が自分の国の首相であることが恥ずかしい。この知性にも、倫理的にも疑問符を投げかけたくなるような首相からばかにされるほど、私たちはバカではない。            (2013年9月24日記)

“放射性物質の測定-どれだけ汚染されているかを知る” への1件のコメント

  1. 麻川 より:

    私たちの生活の場での放射能による汚染状況についての詳しく説明ありがとうございます。
    世間では、復興支援のために福島産の野菜や米を食べようという呼びかけがあるが、私などはやはりなかなか手がでない。北海道産や長野産の物などを買ってしまう。
    できれば九州産の物が売っていればよいのにと思ってしまう。
    魚などは太平洋沿岸はどこもいっしょじゃないかと思うけど、あきらめて買って食べている。ひどい状況ですね。

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