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15年07月04日

レズビアンの日常あれこれ

M(アメリカ在住)

最近美容院を変えた。ここ5年位通い続けた中国人の美容師は、前に住んでいた家の近所に住む日本人の友達に紹介された。最初は気に入っていたけど、いい仕事をする時としない時があり、特にごく最近のカットは手抜きで前髪が揃っていず、自分で後で修正しなければならなかったので不満に思っていた。以前は洗髪も無料でやってくれたのに、最近では(髪を洗いますか?)などと聞いてくるのも気に食わない。

 

それでパートナーのマーディが最近行き始めた近所のベトナム人の美容師に変えた。42、3歳位の女性で20歳位の時アメリカに来て美容師の資格をとったということを初めて行った時に彼女から聞いた。ベトナム女性で美容師の職業を選ぶ人が多い。語学のハンディを比較的カバーできる職業であることと、アジアの女性は手先が器用の為だと思われる。

 

平日のある日私も仕事が無かった日で、車一台は修理に出していたので、パートナーと一緒にその美容師に髪を切ってもらいに出かけた。今回、私は2回目。私が先に髪を切ってもらうことにし、その間パートナーはショッピング・センターに買い物に出かけた。先客がいたので少し待って私の番になった。まだ6月の始めなのに例年になく今年は暑い日が続いているので、今回はショートにしてもらうことにした。美容師がヘアー・スタイル・ブックを持ってきてスタイリッシュな髪形を見せるので、「もっとずっと短く、男の人のように短くして耳をだしてね」と言ったら納得してくれた。「私ももう少し若い頃はあなたのように髪の毛を長くしていたのよ」などと言っていたらパートナーが帰って来ていて、「とても黒かったのよ!!」と会話に入ってきた。私は、今はごま塩頭である。

 

パートナーの番になって、私は本を読んで待っていたのだが、パートナーと美容師の会話が時々耳に入って来る。パートナーが言う。「今週末 Orcas  island(オーカス・アイランド)に行くのよ。」「誰が運転するの?」と美容師。しばらくして美容師が「How long have you been together?(一緒になってどの位?)」と聞いているのを耳にした。「30 years(30年)」「That’s a long time!!(それは長いですね!!)」と美容師。咄嗟に私は日本語でパートナーに「彼女、分かったね!!」と言った。「How long have you been living together? (どの位一緒に住んでいるの?)」では無く、「How long have you been together?(一緒になってどの位?)」と聞いてきたと言う事は、彼女は私達が一緒に住んでいるという情報だけで、カップルだと理解したのだった。

 

アジア系の移民は一般にゲイへの偏見が強く、しかも彼女がベトナムからの移民で結婚していて子供もいる人なので私達二人共驚いた。彼女は私達がレズビアン・カップルであることを知って興奮した様子でいつもの時より会話が弾み、帰りは入り口まで見送ってくれて、パートナーの髪の毛をもう一度手で直したりした。

 

家に帰ってからパートナーから意外な話を聞いた。髪を切っている時その美容師は一瞬、胸をパートナーの背中に押し付けたのだそうだ!! あれはよく考えて見ればセクハラだったとパートナーは笑いながら言った。彼女は無意識の中に女性に惹かれる気持ちがあるから興奮したのか? それとも隠れた女の恋人でもいるのだろうかとパートナーと憶測した。数日間、私達の会話の中にその美容師のことが何度も出てきて、楽しんだ。

 

(Orcas  islandの、鹿が時折現れる、鳥のさえずりのみ聞こえる静寂な森の中の、水道の無いcabinにて)

“レズビアンの日常あれこれ” への3件のフィードバック

  1. mikoです より:

    初めまして。
    その美容師さんの気持ち?分かります。 結婚は男女がするもの=女が付き合うのは男
    という 「常識」の中で生きて何の疑問も持たず恋愛は男性が相手。と無条件に思って来ました。実際、下世話な話ですが、性への欲望を知ったのは、女性の身体で。ヤキモチを焼くのも、ハグしてドキドキと高揚するのも女性。でも、ある時女性が相手で良い。と知った時綺麗になりたい、と思いオシャレやお化粧をする様になりました。

    男の人と無条件に付き合っていた時ですら 抱かれたいと思ったのは、ブリジットニールセン(ビバリーヒルズコップの時の)。

    そんな風に結婚して子供が出来た後、それがレズビアンというもの、と気付いたのでしょうか…。

    43才でやっとその事 の意味を知り、初めてパートナーが欲しい、独りは寂しいんだ。と思って、今47才。 パートナーを見つけるには自分を見つめるのが遅かった。と失った “時間”の重さを初めて感じています。

    パートナーさんとお幸せに m(_ _)m2

    • おおのふみこ より:

      mikoさんは今47才、本人にその気があればまだまだですよ。
      あなたぐらいの年齢の知り合いのレズビンの人たち、素敵な恋人や相(愛)方を見つけて楽しくやっています。
      現在私は米国に住んでいますが、もっともっと高齢の人たちだって、って感じです。楽しんでください。

  2. スノー・ベリー より:

    Mikoさん、
    コメント有難うございました。ふみこさんがコメントに書いたように、まだあなたは若いのですから、(パートナーを見つけるには自分を見つめるのが遅かった)などと言わず、これからでも女性のパートナーは見つかりますよ。私が住むアメリカのOLOC(old lesbians organized for change)の女性達は以前結婚していて、子供や孫がいる人がマジョリティです。女性に惹かれる自分を知っていたが、子供が自立するまで離婚するのを待ったとかいう話をよく聞きます。

    あなたのコメントの出だしに、(その美容師さんの気持ち?分かります)とあったので、そのことに関して書きたいと思いました。
    あのできごとは私とパートナーの間で今まで何度か会話に上りました。パートナーはあれ以来あの美容師のとこには行ってません。相手が女性だったとしても、あれは確かにセクハラだし、Uncomfortable(不愉快)だという理由で。美容師はクロゼットで女性に惹かれる気持ちがあるから、ああいう行為をしたというよりは、彼女はあくまで異性愛者であり、むしろ自分のお客がレズビアンだと知って、急に自分を性的対象物にして、相手の気持ちを自分に向けたい気持ちから来ているのだと思います。異性愛社会で女性として育ち、自分を性的対象物とすることに慣れきっていて(男性優位のこの社会では多くの女性のサバイバル・スキルでもある),普段は男性に対して起こす行動だけど、女性でもレズビアンだと知ると、自動反射で自分を性的対象物にすることです。相手が女性だからよけい安全に感じてああいう行為をとったのだと思います。私はこの美容師のとこに行き続けています。私にはセクハラはしないので。多分パートナーに向けたのはパートナーが白人だからでしょう。

    私が若い頃、ストレートの友達にカムアウトしたら、彼女等の態度が変化したという体験があります。一回目は19歳くらいの頃で、彼女の下宿先に泊まった時、夜、布団に入ったら彼女が急に私を意識して、私をまるで異性のようにあつかったこと。もう一つは23歳位の時、友達は三帖一間の新宿のアパートに住んでいたのですが、そこに泊まった時、彼女が、(触ってもいいわよ)と言ったのです。どちらもあまりいい体験ではありませんでした。

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